酒かすで米がおいしくなるの?
私も最初はそう思いました。酒かすにはアミノ酸がたくさん含まれており酒かすで田んぼの土づくりを行えばきっとおいしい米が収穫できるという確信はありましたが、正直なところ半信半疑でした。まず一番の問題は酒かすは要冷蔵で常温では管理できない。又、重たく肥料として使うには全くの不向きでありました。
2019年の年末、越つかの酒造が酒かすの乾燥化に成功したという新聞記事を読んで「これだっ!」とすぐに蔵元に電話を入れ即決しました。
常日頃から米作りを研究している「燕うまい米研究会」の仲間と手探りで栽培を始めることとしました。
ライムソワーというブレンド撒布機で酒かすとミネラル肥料を混ぜて田んぼに撒布しました。私の田んぼは田植えをせずに田んぼに直接種籾を播種していく直播というやり方で栽培しました。
この直播という栽培方法は私自身4年目で自信を持っています。一番のメリットは株元が扇形に開き太陽の光が良く当たり茎が太くなり、大粒の米を稔らせることです。
収穫をして最初にガス釜で炊いたとき旨そうな香りが立ち上がり、とても艶々した大粒の米が立ち上がっていました。
食べてその美味しさに感激しました。
やっぱり酒かすは米の旨さを際立たせるんだという事を実感しました。
新潟県には美味しい米と酒がたくさんある。
酒を造る時に必ず出るのが酒かす。もちろん酒かすとして売られていますが、酒蔵ではその量は限られており多くはお金をかけて廃棄をしているそうです。
この酒かすは、発酵食品でうま味成分がたくさんあり田んぼに入れたらきっとおいしい米が収穫できるんじゃないかと常々考えていました。
でも重たくてかさばり、水分が多く傷み易く貯蔵するにお金がかり米作りには無理だなと諦めていました。
令和元年の12月新聞に酒かすの乾燥チップ化に成功したという酒蔵の記事を見ました。
「こっれだ!」
と、思い早速連絡を入れ酒蔵の社長に会って米作りに使いたいと申し入れしました。
年が明け、蔵を訪れ製造工程を確認して打合せを行いました。
養鶏農家が餌に入れているが田んぼに入れるのは私達が初めてだと言われました。肥料登録を行ったと言う事で成分を確認しました。
肥料にとって重要な窒素・リン酸・加里がそこそこあるので、稲体にどのように効いてくるのか未知なところがあり一緒に栽培するハルオ君と議論しました。
更に地域振興局の普及技術員のKさんや長野県で有機農業を推進している肥料屋さんのTさんにも相談しました。
一番の問題はどの程度の量をいつ施用するかと言う事でした。窒素分が4%程あるので、酒かす肥料だけでまかなうには相当数量入れる必要があります。その反面酒かすチップが土中で速やかに分解するのだろうか、腐敗すると田植え後にガスのワキが懸念されるので反当たり20~40㎏位かなと計画する事にしました。
酒かすにはもともとアミノ酸が豊富に含まれているため、酒かすから作られたこの肥料は土壌を豊かにし、植物の成長を促す効果が期待できると言えます。
作物に良好なアミノ酸が含まれるため根からはの吸収もよく、すばやく作物に吸収されますのですばやい効果を見込んでいます。
どんな米が収穫できるかまるで判りません。
でも確信しています。